2019年に公開された実写映画『名探偵ピカチュウ』は、従来のピカチュウ像を覆す画期的な作品となりました。主人公のティムにしか聞こえないピカチュウの声は、中身が中年探偵であるという設定上、ハリウッド版ではライアン・レイノルズ、日本語吹き替え版では俳優の西島秀俊さんが抜擢されました。
公開当初、予告編を見たファンからは「ピカチュウから渋い男の声が聞こえる」と驚きと戸惑いの声が上がりました。しかし本編が公開されると、愛らしいもふもふのビジュアルと、西島さんの落ち着いた低音ボイスによるコミカルな掛け合いが見事な化学反応を生み出し、絶賛の嵐へと変わりました。
重要なのは、劇中でも一般の人々には大谷育江さんの「ピカピカ」という声で聞こえており、ティムにだけ西島さんの声で聞こえているという緻密な音響演出が施されていた点です。大谷さんの伝統的な可愛らしさと、西島さんの人間味あふれるハードボイルド演技が同居することで、単なるパロディにとどまらない上質なエンターテインメントへと昇華されました。