この流れは一夜にして生まれたわけではない。歴史を紐解けば、ドランクドラゴンの塚地武雅が映画やドラマで見せた鬼気迫る演技が、業界内の固定観念を打ち破る大きな転機となった。彼が証明したのは、コント仕込みの緻密な人間観察が、本格的な劇伴の中でもビクともしない強いリアリティを生むという事実だ。
そして今、その正統なる後継者として絶大な信頼を集めるのが、東京03の角田晃広である。日常の気まずさや中年男性の滑稽さと悲哀を演じさせたら右に出る者はいない。角田が魅せる繊細な目の動きや声のトーンの変化は、もはやお笑いの枠を超え、作品の質そのものを底上げする重厚なピースとして機能している。