一方で、本事件を巡る過熱取材は報道・メディア業界に大きな倫理的問いを突きつけている。特に近年、実在の犯罪を深く掘り下げてエンターテインメントやドキュメンタリーとして消費するトゥルー・クライムというジャンルが社会的な流行を見せている。一般市民がSNS上で捜査官気取りの分析を展開し、特定の人物を犯人視する風潮は後を絶たない。
真実の追及という名目のもとで過熱する未解決事件ドキュメンタリーの制作ブームは、時に捜査の現場に無用な混乱を招く。当事者のプライバシー侵害や誹謗中傷のリスクと、事件風化を防ぐ世論形成の重要性。メディアが果たすべき役割の境界線は、かつてないほど曖昧になっている。