酢味噌和えを作るために厚くむき落としたうどの皮を見て、「こんなに捨てる部分が多いのは不経済だ」と感じる方も少なくありません。しかし、和食の板前が「うどは捨てる場所が一切ない」と語る通り、この厚皮こそが最も香りと旨味の詰まった宝庫です。
定番にして最高の二次活用が、うどの皮のきんぴら活用法です。むいた皮を繊維に沿ってマッチ棒ほどの細切りにし、水にサッと5分さらして水気を切ります。フライパンにごま油を中火で熱し、うどの皮を一気に炒めます。油が回って透き通ってきたら、酒、醤油、みりんを1:1:1の比率で加え、汁気が飛ぶまで強火で照りよく煮絡めます。仕上げに一味唐辛子と白炒りごまを振れば、ほろ苦さとごま油の香ばしさが絶妙に絡み合う、極上の小鉢が一品完成します。皮の硬い繊維は、加熱と油のコーティングによって心地よいポリポリとした食感へと昇華します。
オリーブオイルをひとまわし(管理栄養士 児玉智絢氏監修)の情報でも裏付けられているように、春の山菜であるうどの栄養と効能には目を見張るものがあります。うどにはエネルギー代謝を助け疲労物質の排出を促す「アスパラギン酸」が豊富に含まれており、季節の変わり目に生じやすい春特有の倦怠感を和らげる効果が期待できます。また、細胞の老化を防ぐ抗酸化作用を持つポリフェノール「クロロゲン酸」や、血流を促して冷えを改善する精油成分「ジテルペン化合物」、余分な塩分を体外へ排出して血圧を安定させる「カリウム」も豊富です。冬の間に停滞していた体内リズムを目覚めさせる生薬のような働きを秘めています。