乃が美の店舗網崩壊を決定づけたのは、市場環境の変化以上に内部のフランチャイズ崩壊でした。乃が美は急成長の過程で、店舗展開の大半を外部のFC加盟企業に依存する手法を採用しました。最盛期には全店舗の約8割から9割近くをFC店が占めており、初期投資や運営リスクを加盟店側が背負う形で急速な全国制覇を成し遂げたのです。
しかし、売上が右肩下がりとなるなかでも、本部側は売上高に応じた高額なロイヤリティや本部指定の原材料仕入れを厳格に求め続けました。報道各社や週刊文春による潜入・告発取材によると、全国各地のFCオーナー有志が「このままでは全店倒産に追い込まれる」と結束し、ロイヤリティの減額や契約条件の見直しを求める集団交渉へ発展。一部のオーナーからは「売上が半減しているにもかかわらず本部の要求は変わらず、毎月数十万から数百万円の赤字を垂れ流している」という悲痛な叫びが上がっていました。
この対立は法廷闘争や契約解除の応酬という泥沼劇へと激化し、愛想を尽かした有力FCオーナーたちが一斉に看板を掛け替える、あるいは契約を途中で打ち切って撤退する事態が全国で頻発しました。さらに、ブランドを一代で築き上げた創業者の阪上雄司氏が代表を退くというトップ交代劇が重なり、経営方針の混乱と求心力の低下が決定的となりました。本部のガバナンス不全とFC網の離反こそが、突如として全国規模の大量閉店を引き起こした最大の暗部といえます。