宿便の正体とは?医学が明かす「腸にこびりつく黒い便」の嘘と真実

宿便の正体とは?医学が明かす「腸にこびりつく黒い便」の嘘と真実

宿便の正体とは?医学が明かす「腸にこびりつく黒い便」の嘘と真実について押さえておきたい 事実を分かりやすい構成で解説いたします。

「でも、私は断食(ファスティング)をしたときに、何も食べていないのに黒いドロドロした便が大量に出た! あれこそが宿便ではないのか?」

SNSや知恵袋、美容系コミュニティでは、このような体験談が数多く投稿されています。絶食して胃腸を空っぽにしたはずの3日目や4日目に、突如として排出される異様な悪臭を放つ黒い便。当事者からすれば「長年溜まっていた毒素が出た!」と興奮するのも無理はありません。しかし、この現象にも明晰な生化学的説明がつきます。

ファスティングと宿便の関係において、絶食中に出る排泄物の主成分は「食べ物のカス」ではありません。便の固形分のおよそ3分の1は腸内細菌の死骸、もう3分の1は剥がれ落ちた腸の粘膜上皮細胞、残りの3分の1が分泌液などの代謝物です。人間は食事を一切摂らなくても、体内では細胞の新陳代謝が休みなく行われており、1日に数万億個単位の古い腸粘膜が剥離しています。

さらに、絶食中は胃や十二指腸に食物が送られてこないため、肝臓から分泌された濃縮胆汁が消化に使われず、腸管内に滞留します。この濃縮された胆汁酸と、剥離した腸粘膜、死滅した腸内細菌が混ざり合い、酸化して黒変したものが排泄されたのが「ファスティング中に出る黒い便」の真実です。決して過去数年分の老廃物がデトックスされたわけではなく、人体の代謝活動の燃え殻が押し出されたに過ぎません。

なお、長期間滞留していた便が排泄される直前には、宿便が出る前兆とサインとして、腸が激しくグルグルと鳴る異常な蠕動痛、締め付けられるような下腹部の差し込み痛、あるいは便の隙間から染み出た腐敗液が漏れ出る「奇異性下痢(偽の下痢)」が生じることが臨床的に知られています。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。