恵那五平餅の真髄に迫る!香ばしいクルミだれと団子型の秘密を現場取材

恵那五平餅の真髄に迫る!香ばしいクルミだれと団子型の秘密を現場取材

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恵那五平餅が全国のファンを虜にする背景には、味覚設計と形状における必然的な理由が存在します。一般的に長野や愛知の山間部で見られる五平餅は、平たく伸ばした楕円形の「わらじ型」に赤味噌主体の甘辛ダレを塗ったものが主流です。しかし、恵那を含む東美濃地域では、一口大の球状に丸めた米を3つ串に通す「団子型」が主流派を占めています。

この形状の違いは、単なる見た目の差異にとどまりません。球状に成形された団子は、炭火で焼いた際に表面の凹凸へ均等に火が通り、外側はパリッと香ばしく、内側にはご飯のふっくらとした水分と粒感が絶妙に残る「半殺し(米粒が半分残る程度の搗き加減)」の食感を生み出します。タレの絡む表面積が広くなるため、口に含んだ瞬間の旨味の広がり方が圧倒的に立体的なのです。

そして、最大の中毒性を生み出しているのがクルミだれの秘密です。恵那地方の伝統的なタレは、良質な溜まり醤油や砂糖をベースに、たっぷりのすり潰したクルミ、白胡麻、落花生(ピーナッツ)を惜しみなく練り込みます。中山道の宿場町として栄えたこの地では、かつて山で自生していた和グルミが貴重な脂質源・滋養食として重宝されてきました。木ノ実由来の良質な不飽和脂肪酸が、炭火の熱でパチパチと音を立てて焙煎されることで、味噌だれとは異なる上品なコクと抜けの良い香ばしさが完成します。

発祥の歴史と経緯を遡ると、江戸時代中期、山仕事に従事する木こりやマタギが、貴重な白米を山仕事の合間に神仏への供物(神道の御幣)に見立てて串に刺し、焚き火で焼いて食べたのが始まりと伝えられています。恵那の家庭では、秋の収穫祭や特別な客人を迎える「ハレの日のご馳走」として代々タレの配合が受け継がれてきました。単なる観光名物ではなく、生活文化に深く根ざした郷土の記憶が、その一串に凝縮されているのです。

山田 真由
著者

山田 真由

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