男性恐怖症を抱える当事者が直面する苦痛は、周囲から極めて理解されにくいという孤独を伴います。SNSのコミュニティや知恵袋、当事者手記などの実態調査から、現場で浮き彫りになっているリアルな声を検証します。
都内のIT企業で働く20代女性の手記には、日常的な場面での過酷な緊張状態が克明に綴られています。
「同僚の男性社員が後ろを通る足音が聞こえただけで、首筋が強張りキーボードを打つ指が止まってしまう。話しかけられると何を言われたか頭に入らず、ただ早くその場から逃げ出したい一心で愛想笑いをしてしまう。帰宅すると全身が鉛のように重く、自分がなぜ普通に働けないのか情けなくて毎晩泣いていました」
また、恋愛や結婚のライフステージにおける葛藤も深刻です。「人を好きになりたい気持ちはあるのに、いざ男性から好意を告白されたり距離を詰められたりすると、生理的な嫌悪感や恐怖でパニックになり、連絡を絶ってしまう」というケースは、いわゆる「蛙化現象」と混同されがちですが、実態は「自己の境界線が侵食されることへの無意識の防衛反応」です。
当事者の多くは「男性全般を攻撃したいわけでも、憎んでいるわけでもない」と語ります。頭では「この人は安全な人だ」と理解していても、身体が勝手に拒絶してしまうという自己の乖離こそが、当事者を深く苦しめる要因となっています。