スマートフォンの画面を開けば、食べログの星の数やGoogle マップに書き込まれた数千件のレビューが瞬時に手に入る。だが、本当に地元民が通い詰める名店は、往々にしてそうしたデジタルの喧騒から一歩離れた路地裏に潜んでいるものだ。観光案内板には載らない、真の穴場を見極めるにはいくつかの法則がある。
第一の手がかりは、煙の抜け具合だ。最新の無煙ロースターを備えた小奇麗な店よりも、年季の入った換気扇がけたたましく回り、壁や天井が飴色に燻された店にこそ、確固たる常連客がついている。そうした店では、店主自らが毎朝市場で目利きした極上の端肉が、驚くほど良心的な価格で振る舞われる。
第二に、野菜の盛り方を見ること。鮮度の高いタマネギが惜しみなく山盛りにされ、自家製タレの継ぎ足し壺がカウンターの片隅で鈍い光を放っている店にハズレはない。星の数だけに惑わされず、自らの嗅覚と地元客の笑い声を頼りに暖簾をくぐる勇気こそが、忘れられない夜を引き寄せる。