温泉愛好家や医療関係者が「最後の拠り所」として口を揃えるのが、湯之谷温泉郷の中心を担う栃尾又温泉と大湯温泉です。華やかな大型ホテルが立ち並ぶ一般的な温泉街とは一線を画し、ここには「身体の不調を整え、生命力を回復させる」という温泉本来の原風景が色濃く残されています。
最大の魅力は、日本屈指のラジウム含有量を誇る「ぬる湯」による長湯文化です。一般的な温泉のように15分程度で身体を温めて上がるのではなく、体温とほぼ同等の湯に1時間から2時間じっくりと身を委ねる入浴法が、奈良時代に行基が開湯して以来、連綿と受け継がれてきました。熱刺激による急激な血圧変動がなく、湯疲れを起こさずに深部体温と副交感神経を優位に導く体験は、一度味わうと他の温泉では満足できなくなるほどの引力を放っています。
また、開湯1300年の歴史を誇る大湯温泉では、清流のせせらぎを聞きながら豊富な湯量と湯の花が舞う単純温泉を堪能できます。異なる個性を持つ名湯が車でわずか数分の距離にひしめき合っている点も、通を唸らせる大きな要因です。