トコジラミの吸血による皮膚炎は、唾液に含まれる麻酔成分と抗凝血成分に対する生体のアレルギー反応によって引き起こされます。そのため、刺された経験の有無によって発症のタイミングが大きく異なります。
生まれて初めてトコジラミに刺された場合、体内に対抗する抗体が存在しないため、吸血直後はまったく痒みを感じないケースが珍しくありません。この潜伏期間は7日〜14日程度におよび、「旅行から1週間以上経ってから突然赤い発疹が出た」というタイムラグが生じます。この遅延反応が、感染源の特定を難しくさせる主因となっています。
一方で、過去に刺された経験がありアレルギー感作が成立している場合、刺されてから数時間〜24時間以内に強烈な即時型アレルギー反応が発現します。トコジラミの痒みのピークは刺咬後2日〜3日目に訪れ、皮膚科の現場では「夜間に眠りを妨げられるほどの激痛に近い痒み」と訴える患者が相次ぎます。
SNSや健康相談ポータルに投稿される当事者の声を取材すると、「蚊やダニの痒みを10とするなら、トコジラミは100に達する」「痒さのあまり保冷剤で冷やし続けなければ意識が朦朧とする」といった切実な証言が散見されます。この激しい炎症は、適切な治療を行わない場合、色素沈着を起こして数ヶ月間にわたり茶色い跡として肌に残るリスクを孕んでいます。