実店舗が存在しないにもかかわらず、なぜこれほど多くの人が「市野のエディオン」を探し求めてしまうのでしょうか。消費者行動の心理と地域特性を掘り下げると、3つの構造的要因が浮かび上がってきます。
第1の要因は、東海エリアにおけるエディオン(旧エイデン)の圧倒的なブランド知名度です。静岡県西部においてエディオンは長年にわたり生活インフラ級の存在感を誇っており、「大きな商業施設やバイパス沿いに行けば必ずエディオンがある」という認知のショートカット(認知的ヒューリスティック)が無意識に働きます。
第2の要因は、実店舗「エディオン浜松和田店」との物理的距離の近さです。イオンモール浜松市野から笠井街道や県道を経由して南東へわずか2.5kmほど下った浜松市中央区和田町に、巨大なロードサイド店舗であるエディオン浜松和田店が構えています。地元ドライバーの間で「市野のすぐ近くにある大きなエディオン」という地理的記憶が、歳月とともに「市野のイオンの中にあるエディオン」と頭の中で同一視されてしまった形です。
SNSや口コミサイトの投稿を検証すると、消費者のリアルな迷いが見て取れます。
「週末に市野のイオンで冷蔵庫を見ようと思ったらジョーシンだった。エディオンの保証カードを持っていたから、結局バイパス近くの和田店まで車を走らせることに」(浜松市在住・30代ファミリー)
「ネットで『イオン浜松市野 エディオン チラシ』と検索しても全然出てこなくて不思議に思っていたら、そもそもモールに入っていなかったのね。紛らわしい!」(近隣エリア利用者)
このように、現場を訪れて初めてテナントの違いに気づき、移動を余儀なくされるケースが日常的に発生しています。