デザインや日常会話で混同されやすい言葉に「アイコン」「ピクトグラム」「シンボル」の3つが存在します。いずれも情報を視覚的に伝えるマークですが、記号学的な位置づけと使用される場面・目的は明確に区別されます。
アメリカの哲学者・記号学者であるチャールズ・サンダース・パースの記号論(Semiotics)を参照すると、その本質が鮮明に見えてきます。パースは記号を「類像記号(Icon:対象と物理的な類似性を持つもの)」「指標記号(Index:因果関係で対象を指し示すもの)」「象徴記号(Symbol:社会的な取り決めや規則によって結びつくもの)」の3層に分類しました。実務上の違いを比較表で整理します。
アイコンとピクトグラムの違いを端的に捉えるならば、「操作を促すスイッチか、状況を知らせる標識か」という点に集約されます。Webブラウザの「虫眼鏡マーク」はクリックして検索画面を開くためのアイコンですが、駅の構内にある「車椅子マーク」や「非常階段マーク」は場所や設備を認知させるためのピクトグラムです。
一方、アイコンとシンボルの違いは、形態と意味の結びつきにあります。カメラ機能を表すカメラの絵は形態が類似しているため典型的なアイコンですが、ハートマークが「愛」や「共感(いいね)」を指し、天秤のマークが「公正・司法」を示すのは、社会的な文化的共通認識(コンセンサス)によって意味が付与されたシンボルの領域です。