2024年春先から本格化した「クレジットカード決済停止問題」は、業界内外に計り知れない衝撃を与えました。大手同人プラットフォーム「DLsite」においてVisaやMastercardの取り扱いが突如停止され、成人向け表現を示すキーワードが「ひよこ」「おにぎり」などの隠語・伏字に一時置き換えられた騒動は記憶に新しいところです。さらに「FANZA」でも同様の決済制限措置が相次ぎ、ネット上では「二次元コンテンツそのものが法的に禁止されるのではないか」という不安が広がりました。
しかし、この事態を「国家権力による法規制」と捉えるのは完全な誤解です。この問題の本質は、「米国を中心とする国際クレジットカード決済ブランドが一方的に課した利用規約の厳格化」という民間の金融外圧にあります。児童保護や反人身売買を掲げる海外の圧力団体のロビー活動を受け、国際ブランド各社は過剰とも言えるコンプライアンス基準を策定。日本国内の刑法175条(わいせつ物頒布等の罪)や青少年保護育成条例の基準をクリアしている合法な商業・同人表現であっても、米国の基準に抵触するとみなされたコンテンツは取引停止の対象とされました。
これに対し、プラットフォーム側は迅速な防衛策を展開しました。JCBなどの国内系カードブランドの利用推進に加え、銀行振込、コンビニ決済、各種キャリア決済、電子マネー、ビットキャッシュなど多様な決済インフラを整備。自社発行のポイントを事前チャージするシステムへの移行を急ピッチで進めた結果、騒動直後に生じた買い控えは沈静化し、独自の経済圏を確立する契機となりました。