なぜB型だけがピンポイントで「遊牧民」と関連付けられるのか。その理由は、単なる都市伝説にとどまらず、発祥とされる地域、歴史的な健康理論、そして免疫機能に関する独自の仮説が複雑に絡み合っている点にあります。
B型のルーツが遊牧民とされる理由を紐解く上で、最も大きな影響を与えたのが、1996年にアメリカの自然療法医ピーター・ダダモ氏(Peter D'Adamo)が発表した著書『Eat Right 4 Your Type(邦題:ダダモ博士の血液型健康法)』です。ダダモ氏は、人類の進化プロセスにおいて血液型の起源を狩猟・農耕・遊牧のライフステージに分類しました。最古のO型を「狩猟採集民」、続くA型を定住による「農耕民族」、そして紀元前1万〜1万5000年頃にヒマラヤ山岳地帯を起源として誕生したのがB型であると提唱したのです。
この説を後押しした第二の要素が、地球規模での血液型分布データです。人類集団の遺伝子頻度調査において、アジアの遊牧民族やモンゴル、中央アジア地域では、欧米諸国(B型比率約10〜15%)と比較してB型の比率が約25〜30%以上と顕著に高い数値を示します。広大なステップ地帯を移動しながら勢力を拡大した騎馬民族の歴史的移動ルートと、B型遺伝子の高頻度地域が見事に一致していたことが、「B型=遊牧民族」というイメージを決定づけました。
第三の要素として挙げられるのが、過酷な環境を生き抜くための免疫力と消化器系の特徴です。乾燥と極寒、未知の病原菌が渦巻くステップ気候を移動生活する中で、多様な保存食や動物性食品を消化吸収し、感染症を跳ね返す強靭な免疫システムを獲得したのがB型であると説明されました。この「環境変化に強くタフな体質」というストーリーが、人々の腑に落ちる説得力を持ったのです。