インターネット上の言説やSNSの議論では、『COVERS』について「政治活動家による過激なイデオロギー作品だったのではないか」「後から話題作りのために炎上を狙ったのではないか」といった誤解が一部で見受けられます。しかし、当時のファンコミュニティや現場を体験したリスナーの証言を精査すると、実態は全く異なります。
清志郎が目指したのは高圧的な演説ではなく、「誰もが口ずさめる親しみやすい歌」でした。「サマータイム・ブルース」の歌詞も、難解な専門用語を使わず、「お風呂に入りたい」「クーラーが切れたら困る」といった生活実感から出発しています。だからこそ、日頃は政治や社会問題に無関心だった若者層にもストレートに響き、全国のレコードショップで品切れが続出する社会現象となったのです。
2011年3月の東日本大震災および福島第一原発事故の発生直後、YouTubeやラジオ、SNS上で『COVERS』の音源が再び爆発的に拡散された事実は、清志郎の警鐘が単なる一過性のプロテストではなく、本質的な予見性を持っていたことを証明しています。