『完成!ドリームハウス』の放送回がネット上で長年語り継がれ、すぐに「失敗」「後悔」といったネガティブなキーワードで検索される背景には、視聴者側の心理的バイアスが強く働いています。
第一に、「奇抜な挑戦をした者が痛い目を見るのを見届けたい」という大衆のシャーデンフロイデ(他者の不幸を喜ぶ心理)が存在します。住宅ローンという人生最大の買い物を前に、多くの日本人は無難で減点のない大手ハウスメーカーの家を選びます。その同調圧力から大きく逸脱し、土という前衛的な素材に大金を投じた施主に対し、ネットコミュニティでは「ほら見たことか、カビだらけになって崩壊するに決まっている」という結末を無意識に望んでしまう傾向があるのです。
第二に、実際の「住み心地や評判」に対する評価基準の違いです。土の家における快適さとは、エアコンのスイッチ一つで24時間年中無休で均一な温度・湿度を保つホテルライクな快適性ではありません。土の持つ蓄熱性によって「夏場はひんやりと涼しく、冬場は日中の暖かさをじわじわと保持する」という、自然のリズムに歩調を合わせた暮らしです。
しかし、壁から微細な土の粒子が落ちて掃除の手間が増えることや、強い雨の日に土の匂いが立ち込めることを「不快な欠陥」と捉える人にとっては、間違いなく耐え難い環境になります。住まい手に素材への深い愛情と手間を面白がる余裕がなければ、どれほど建築的に優れていても「住み心地の悪い失敗作」に転落してしまうという、極めてシビアな現実を示しています。