二人の関係が大きく動き出したのは、1982年公開の映画『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』(シリーズ第30作)での共演でした。田中裕子はヒロインの螢子役、沢田研二は彼女に想いを寄せる青年・勝三郎役を演じ、作中では寅次郎の不器用な後押しを受けながら結ばれる恋人同士を熱演しました。
当時、すでに国民的アイドル歌手としての絶頂期を極め、俳優としても色気を放っていた沢田研二と、NHK連続テレビ小説『おしん』の主演を控えて圧倒的な演技力と透明感で注目を集めていた田中裕子。ロケ地の長崎県・五島列島などで濃密な撮影期間を過ごすうちに、役柄を超えて急速に惹かれ合っていきました。
その後、1985年には鈴木清順監督の映画『カポネ大いに泣く』でも再び共演。この頃にはすでに交際が公然の秘密となっており、スクリーン越しにも伝わる二人のただならぬ熱量が大きな話題を呼びました。しかし、この情熱的な恋の裏側には、越えなければならない極めて重い現実が横たわっていました。