オスの成虫を見分ける際、最も確実な識別ポイントとなるのが大顎の内歯(ないし:内側に向かって生えている突起)の位置です。この特徴はサイズに関わらず現れるため、採集現場で最初に入念に確認すべき部位となります。
ヒラタクワガタのオスは、大顎の基部(根元寄り)から中央付近に明瞭な大型の内歯が1対突き出し、その先には細かい鋸歯(きょし:ノコギリ状の小さなギザギザ)が並びます。さらに頭部先端にある「頭楯(とうじゅん)」と呼ばれる小さな突起の幅が広く、正面から見た際に重厚感のある顔つきをしているのが特徴です。
対するコクワガタのオスは、大顎の中央より前方(先端寄り)に1対の内歯が前方を向くように発達します。小型個体になると内歯自体が消失して単純なカーブを描く顎になる場合もありますが、ヒラタクワガタのように根元付近に独立した突起が残ることはありません。
もうひとつの決定的な違いは体型の平たさと全体のボリューム感です。ヒラタクワガタはその名の通り、上から押しつぶされたように幅広く扁平な体つきをしており、横幅と厚みがあります。一方のコクワガタは全体的に細身でス身が締まっており、上翅(背中の甲羅部分)の丸みがなだらかです。手のひらに乗せた際の重量感や、指で挟んだ時の力強さにも明らかな差が現れます。