厨房の中央に据えられた大きなまな板。巨大な麺棒で均一かつ繊細に延ばされた生地に、一本の包丁が吸い込まれるように落ちていく。よしやの麺の最大の特徴は、手切りならではの「ねじれ」と「不揃いさ」にある。機械で均一に切り落とされたストレート麺にはない、わずかな断面のゆらぎ。この凹凸こそが、いりこ出汁を余すところなく絡め取る秘密だ。
口に運んだ瞬間の舌触りは驚くほどなめらかで、噛み締めれば中心部から力強い弾力が押し寄せてくる。決して固いだけの麺ではない。しなやかでありながら、奥底に確固たる芯を秘めた食感。気温や湿度に合わせて小麦粉と塩水の配合をミリ単位で調整し、自らの手のひらで生地の機嫌を伺う。これぞ本物の讃岐うどんが持つ、生きた旨さそのものである。