北九州市が誇る個性派麺料理の代表格といえば、戸畑ちゃんぽんを外すわけにはいかない。長崎の太く柔らかい麺とは対照的に、この地で愛されてきたのは黄色く輝く蒸し細麺だ。
この独特な麺が生まれた背景には、製鉄の街ならではの歴史がある。かつて八幡製鐵所の戸畑地区で働く男たちが、短い休憩時間の合間に素早く食べられるよう、茹で時間が短く伸びにくい蒸し細麺が考案されたのだ。コシの強い縮れ麺が、豚骨と鶏ガラをベースにした濃厚でコクのある白濁スープをしっかりと抱きかかえる。
強火で一気に炒められたキャベツやモヤシ、豚肉のシャキシャキとした食感と、噛むほどに旨味が広がる細麺のハーモニー。労働者の胃袋を満たし続けてきた一杯は、現代を生きる私たちの身体にも芯から活力を吹き込んでくれる。