灰原雄の殉職は、すでに精神的な限界を迎えていた夏油傑を決定的な「闇堕ち」へと突き落とす最後の引き金となりました。
星漿体・天内理子の護衛任務失敗以降、非術師を守るという自身の信念に激しい疑念を抱いていた夏油。特級術師・九十九由基との問答を経て「非術師を皆殺しにすれば呪霊は生まれない」という極端な思考の芽が生まれていた矢先、飛び込んできたのが灰原の訃報でした。
遺体安置所で横たわる無残な後輩の骸を前に、夏油は「呪術師というマラソンゲームの果てにあるのは、仲間の屍の山ではないか」という絶望に呑み込まれます。誰よりも実直で、誰よりも人を信じていた後輩が、守るべき対象である非術師の信仰(産土神)が生み出した呪霊によって命を奪われたという皮肉――。この冷酷な現実が、夏油の呪詛師への道を決定づけてしまいました。