引退後、加茂田は裏社会から完全に身を引き、長きにわたり沈黙を守り続けました。しかし2016年、86歳を迎えた彼が出版した自伝『烈侠』(サイゾー)は、昭和裏社会の生き証人による貴重な一次資料として大きな反響を呼びました。
同書の中で加茂田は、田岡一雄への変わらぬ敬慕の情、竹中正久との確執の真意、そして一和会結成に至る葛藤を赤裸々に告白しています。特筆すべきは、これまで冷酷無比な武闘派と見なされていた加茂田が、自らの弱さや部下への責任感、家族への思いを率直に吐露している点です。
「男の価値は、どれだけ人を泣かせたかやない。どれだけの人を笑わせ、飯を食わせられたかや」
自著の中で語られたこの名言は、暴力で名を馳せた男が晩年に辿り着いた境地を象徴しています。また、私生活における家族や息子の存在についても触れられており、ヤクザとしての宿命を背負わせまいと苦心した父親としての一面も描かれています。ネット上やSNSでは、単なる裏社会の回顧録にとどまらず、壮絶な人生を生きた人間の苦悩の書として再評価する声が広がりました。