タヤリンの故郷であるランゲ地方は、バローロやバルバレスコといった最高峰の赤ワインを生み出す風光明媚な丘陵地帯だ。この地の農村では、古くから特別な祝祭の日や収穫の祝いに、女性たちが総出で麺棒を振るい、惜しげもなく貴重な卵を使ってタヤリンを打ってきた歴史がある。
冷涼で厳しい冬を迎える北イタリアにおいて、高カロリーで栄養価の高い卵黄をたっぷり使ったピエモンテ伝統料理は、人々の命を支えるエネルギー源でもあった。今では洗練されたリストランテの一皿として供されるが、その根底には厳格な大地と農民たちの知恵が息づいている。