ネット上でミームとして流通している黄色と白の小さなハムスター、その正体は1990年に連載がスタートした伊藤理佐による漫画作品『おるちゅばんエビちゅ』の主人公です。外見は丸みを帯びた二頭身の愛らしい姿ですが、本作は子供向けアニメではなく、明確に大人の読者を対象とした青年漫画誌(双葉社『アクションピザット』など)で連載された成人向けブラックコメディに分類されます。
作中におけるエビちゅの設定は、25歳の独身OLである「ご主人ちゃま」に飼われている家政婦ハムスター。お留守番の間に買い物へ行き、洗濯板で器用に服を洗い、料理や掃除までこなす並外れた知能を持っています。しかし、最大の問題はその「空気の読めなさ」と「下ネタの容赦のなさ」にあります。
エビちゅは、ご主人ちゃまの性生活、夜の営みの赤裸々なディテール、生理事情、不倫相手との痴話喧嘩などを、屈託のない笑顔で近隣住民や訪問客に暴露してしまいます。その結果、激怒したご主人ちゃまから凄惨な折檻を受け、頭から流血したり顔面が変形するまで殴り飛ばされたりするのが毎回の定番パターンです。「可愛い小動物が健気に家事をする」というメルヘンな導入から、刹那のうちにドロドロの男女事情と流血沙汰へ雪崩れ込む落差こそが、本作の根幹をなすアイデンティティとなっています。