一見すると頼もしく自立した男性が、なぜ親しい女性の前では「支配されたい」と願うのでしょうか。M男心理の根底にあるのは、精神医学や行動経済学でも指摘される「決断疲れ(ディシジョン・ファティーグ)」の解消です。日々の業務で無数の判断を下し、責任を背負い続けている男性ほど、脳が選択すること自体に過度のストレスを抱えています。相手に主導権を明け渡し、「従うだけでよい状態」に身を置くことは、彼らにとって究極の精神的デトックスに他なりません。
さらに見逃せないのが、M男甘えたい理由の核心にある「無防備な自分を丸ごと受け入れてほしい」という承認欲求です。土居健郎の『「甘え」の構造』に代表されるように、日本的な心理構造において「相手に委ねる」行為は最大の信頼の証とされます。「指示に従う=相手にすべてを捧げている」という献身のポーズを取ることで、自らの弱さや甘えを正当化したいという本音が隠されています。
また、ドM男性の心理においては、女性からの「ちょっとした理不尽さ」や「強気な態度」が愛情表現として変換されます。放置されたり無関心でいられたりすることをもっとも恐れるため、強引に引っ張られたり小言を言われたりすることで、「自分は関心を向けられている」という強烈な被受容感を獲得しているのです。