カピバラの食文化を語る上で欠かせないのが、18世紀に起きたカピバラ 魚扱い キリスト教の承認劇です。この史実は、文化人類学や宗教学の観点からも極めてユニークな事例として知られています。
カトリック教会では、イエス・キリストの受難を追悼する復活祭前の約40日間を「四旬節(レント)」と呼びます。この期間中、信徒は悔い改めと節制の証として「陸の獣の肉」を断ち、魚類や甲殻類などの水産物を食べることが義務付けられていました。
18世紀中頃、南米に入植した宣教師たちは、現地の主要な食糧であるカピバラが四旬節中に食べられないことで布教活動や先住民の食生活に深刻な支障をきたしている現状に直面しました。そこで宣教師らはローマ教皇庁(バチカン)に対し、「カピバラは半水生で一生の大半を水中で過ごし、足には水かきがあり、魚のような鱗状の皮膚の質感を持つ」という観察報告書を提出。その結果、教皇庁から「宗教上の分類においてカピバラは魚と同等と見なす」という異例の公式許可を取り付けることに成功しました。
この裁定により、四旬節の断食期間中に堂々と食べられる「合法的な肉」としてカピバラの需要が爆発。今日でもイースター(復活祭)の時期になるとベネズエラ国内でカピバラ肉の消費量が急増するのは、この宗教的背景が色濃く残っているためです。