「生放送で最も視聴者の視線が集まるのは、実は顔の次に『手元』なんです」と語るのは、長年キー局でアナウンサーのスタイリングを手掛けるベテランスタイリストだ。冬の屋外取材では、単に暖をとるだけでなく、原稿をめくる動作やマイクを持つ角度まで美しく魅せることが求められる。ごわつく防寒グローブではなく、手にしなやかにフィットする上質な革手袋が選ばれるのはそのためだ。
さらに裏話として、画面上での発色やコートとの配色バランスも緻密に計算されている。暗くなりがちな冬の重厚なアウターに対し、あえてキャメルや深みのあるワインレッドの革手袋を差し色として効かせる技術。コートの袖をわずかに短めに見せるお直しを施し、手首の細さを強調する高等テクニックも駆使されているという。