ただし、タレントや芸人の吹き替えがすべて失敗に終わるわけではない。過去の洋画作品や海外アニメーション映画を見渡せば、芸能人がハマり役となり、プロ声優に劣らない絶賛を浴びた例も無数に存在する。では、何が暗雲と称賛を分けるのだろうか。
差を生む最大のポイントは、「配役の適性」と「厳しいオーディションの有無」だ。本国の制作スタジオ(ディズニーやピクサーなど)が厳密なボイスオーディションを行い、ネームバリューではなく声質と表現力だけで選考する場合、タレントの個性がキャラクターと見事な化学反応を起こす。一方で、日本国内の宣伝都合だけでキャスティングが決まり、事前トレーニングも不十分なまま収録が行われるケースでは、ミスマッチが露呈しやすい。『ジュラシック・ワールド』の場合、キャラクターの持つタフなイメージと、起用されたタレントの声質・演技スタイルとの距離感が埋まらないまま本番を迎えてしまった印象を拭えない。