館内2階へと階段を上ると、訪れた誰もが息をのむ圧巻の展示品が目に飛び込んでくる。ガラスケースの中にどこまでも長く引き伸ばされて展示されているのは、体長8.8メートルにも及ぶ日本海裂頭条虫(いわゆるサナダムシ)の実物標本だ。わずか3ヶ月という驚異的なスピードで人間の体内でここまで巨大化し、患者本人が排泄するまで自覚症状がほとんどなかったというエピソードには、誰もが戦慄と驚嘆を禁じ得ない。標本の横には実際の長さと同じ8.8メートルの紐が置かれており、手に取ってその規格外の長さを体感することができる。
展示パネルに目をやると、この寄生虫がどのような生活環を経てヒトに感染したのかが詳細に解説されている。サケやマスなどの身近な魚介類を媒介として体内に入り込む仕組みは、現代の私たちの食生活とも決して無縁ではない。グロテスクな見た目の裏側にある緻密な生存戦略と進化の歴史を知ることで、閲覧注意の恐怖感は次第に純粋な生命への驚異へと変わっていく。