「以前なら申請書を3枚書いて、別々の窓口を往復していました。今はスマホ一つ、あるいはこの端末で顔認証をするだけ。本当に10分で終わるとは驚きです」
庁舎1階の市民課フロアで、証明書を受け取ったばかりの60代女性は晴れやかな表情で語る。2025年末までに完了した行政手続きのフルデジタル化構想は、2026年の今、市民の日常に完全に定着した。かつて書類の山と印鑑の押し直しで溢れていた窓口業務は、AIによる自動事前入力とマイナンバー連携によって極限までシンプル化されている。
特筆すべきは、デジタルに不慣れな高齢者や障害者へのフォロー体制だ。デジタル化によって生まれた業務の余力は、そのまま「手厚い対面伴走支援」へと振り向けられた。ロビーには専門のサポートスタッフが常駐し、操作に迷う市民にマンツーマンで寄り添う。テクノロジーで効率を追求する一方で、本当に人間が関与すべき温かな対話の時間を生み出す。これこそが、姫路モデルの真髄と言えるだろう。