吉高由里子の名を一躍全国区へと押し上げたのが、金原ひとみ原作の芥川賞受賞作を映画化した『蛇にピアス』だ。当時まだ若手だった彼女が挑んだのは、身体改造と過激な愛憎の世界に身を投じる主人公・ルイ役。巨匠・蜷川幸雄監督のもとで行われた撮影は苛烈を極め、ヌードシーンを含むセンセーショナルな演出が大きな話題を呼んだ。
オーディションの段階から並々ならぬ存在感を放っていた彼女は、撮影直前に交通事故で大怪我を負うアクシデントに見舞われながらも、復帰後に圧倒的な集中力で撮影を完遂。蜷川監督をして「スクリーンの中で恐ろしいほどの輝きを放つ」と言わしめた。単なる刺激的な演出を超え、痛みに耐えながら生を実感する主人公の生々しい美しさを体現したことで、映画界に強烈な爪痕を残したのだった。