室伏広治氏のフィジカルを語る上で外せないのが、各種測定で叩き出してきた常識外れの数値データです。陸上界のみならず、あらゆるプロスポーツ関係者が「もし彼が他の競技を選んでいても世界王者になっていた」と口を揃える背景には、裏付けとなる圧倒的なフィジカルデータが存在します。
握力測定では一般的な握力計の計測限界である100kgを軽々と振り切ったというエピソードをはじめ、プロ野球の始球式では特別なピッチング練習をしていない状態にもかかわらず、球速131km/hの豪速球ストライクを記録してスタンドを騒然とさせました。さらに、現役最盛期の体脂肪率は3〜5%前後を維持しながら、100m走を手動計測で10秒台で駆け抜ける瞬発力とスピードを兼備していました。
ベンチプレスの挙上重量に関しても170kg以上を軽快に扱っていた記録が残っていますが、本人は「重いものを持ち上げること自体は目的ではない」と公言していました。数値そのものを競うパワーリフティング的な発想ではなく、投てき動作における出力効率を極限まで高める手段としてウエイトトレーニングを位置づけていた点が際立っています。