荒木村重の妻「だし」はなぜ処刑された?置き去りにされた絶世の美女の真相

荒木村重の妻「だし」はなぜ処刑された?置き去りにされた絶世の美女の真相

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六条河原の露と消えただしですが、彼女が遺した血筋は奇跡的に途絶えることはありませんでした。当時わずか生後数ヶ月だった彼女の息子が、乳母の決死の機転によって城内から救出され、京都の西本願寺へと逃げ延びていたのです。

その赤ん坊こそが、のちに江戸時代初期を代表する絵師となり、「浮世絵の開祖」とも称された岩佐又兵衛(勝以)です。又兵衛は母方の姓である「岩佐」を名乗り、自らの出自を隠しながら絵の道に生きました。

美術史研究者たちの間では、又兵衛の代表作である重要文化財『山中常盤物語絵巻』に見られる異様な凄惨描写に、母・だしの死が影を落としていると指摘されています。盗賊たちに母親が惨殺される場面における、飛び散る鮮血や引き裂かれる肉体の執拗なまでの筆致は、直接見ることのなかった「六条河原で虐殺された母の悲劇」への思慕と鎮魂、そして怨嗟が生み出した表現ではないかと読み解かれています。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。