頬の内側の粘膜は非常に繊細で、物理的刺激や免疫力の低下、生活習慣の乱れに対して敏感に反応します。痛みを伴う代表的な原因には、以下のような病態が挙げられます。
最も頻度が高いのはアフタ性口内炎です。直径数ミリの円形または楕円形の浅い潰瘍で、表面が白または黄白色の膜で覆われ、周囲が赤く腫れて強い接触痛を伴います。睡眠不足や栄養バランスの偏り、ストレスによる免疫力低下が主な引き金です。
一方で、頬の内側を走るように頬の内側に白い線(頬粘膜白線)が形成され、擦れや痛みを伴うケースもあります。これは就寝中の歯ぎしりや、起きている間に無意識に上下の歯を接触させ続ける「歯列接触癖(TCH)」によって、粘膜が歯の隙間に吸い込まれ、角化することで生じる現象です。
さらに、難治性の炎症として注意したいのが頬粘膜の扁平苔癬(へんぺいたいせん)です。頬の粘膜にレース状・網目状の白い模様が現れ、赤くただれたり(びらん)、辛いものや酸味のある食品が強くしみたりします。金属アレルギーや自己免疫の異常が関与しているとされ、長期的な経過観察が必要となる疾患です。
また、食事中などに誤って噛んでしまい、頬の内側に水ぶくれ(血腫)や、小唾液腺の損傷による粘液嚢胞(ミューコシール)が形成されて痛む事例も多く見られます。物理的要因としては、親知らずが頬の内側に当たることで慢性的な外傷性潰瘍や頬の内側の腫れを引き起こしているケースも珍しくありません。