境内へ足を踏み入れると、まず目を奪われるのが豪華絢爛な上野東照宮 金箔社殿です。日光東照宮まで足を運ぶことができない江戸の人々のために造営された経緯を持ち、遠出しなくとも同格の威厳を感じられるよう、贅を尽くした漆塗りと金箔が施されています。
国の重要文化財に指定されている社殿(本殿・幣殿・拝殿が一体となった権現造)の周囲を取り囲むのは、精巧な彫刻が施された「透塀(すきべい)」です。欄間には動植物や波の透かし彫りが施されており、江戸初期の名工による息をのむような職人技を間近で観察できます。また、社殿正面の「唐門」には、日光東照宮の眠り猫で知られる左甚五郎作と伝わる「昇り龍・降り龍」が彫られており、夜な夜な不忍池の水を飲みに行くという伝説が残るほど生命感に満ちています。
参道右手に見える威風堂々とした上野東照宮 五重塔(旧寛永寺五重塔)も必見の遺構です。現在は上野動物園の敷地内に塔の足元がありますが、東照宮の参道側からもその美しい全景を仰ぎ見ることができ、江戸初期の宗教景観を今に伝える貴重なシンボルとなっています。