一般社会における漢方への眼差しを決定的に変えた契機の一つが、メディアによる科学的検証の報道だ。かつて放送されたNHKスペシャル「東洋医学 ホントのチカラ」をはじめとする特集番組は、それまでブラックボックスと見なされがちだった漢方方剤の作用機序を、最新の画像診断や免疫学のデータを用いて視覚的に解き明かした。
臨床の最前線で漢方診療の近代化を推し進めてきた北里大学名誉教授・花輪壽彦氏らの地道な研究成果は、いまや日経メディカルやm3.comといった医療従事者向け専門メディアの誌面を日常的に賑わせている。日経メディカルの医師アンケートやm3.comの臨床掲示板では、発熱性疾患に対する初期アプローチとして麻黄湯をどう位置づけるかについて、感染症専門医と漢方専門医の間で連日熱心なディスカッションが交わされている。もはや漢方は、西洋薬の「代替」ではなく、急性期医療のパラダイムを拡張する「相補的パートナー」として定着したといえる。