エングレービング(Engraving)とは、英語で「版画」「彫刻する」「刻み込む」を意味する言葉です。工芸・造形の分野においては、金属や木、ガラスなどの硬質な素材の表面に専用の刃物を用いて線や模様を直接彫り込んでいく凹版技法および彫刻技法全般を指します。
そのルーツは極めて古く、15世紀のヨーロッパで紙幣や聖書の挿絵を印刷するためのエングレービング銅版画技法として確立されました。銅板に彫刻刀で極細の溝を彫り、そこにインクを詰めて紙に転写する技術は、アルブレヒト・デューラーをはじめとする巨匠たちによって芸術の域へと昇華。微細な線の集積によって明暗や質感を表現するその技術が、やがて工芸品や武具、装飾品を美しく彩るエングレービング金属彫刻の技術へと受け継がれていきました。
削り取られた断面(V字型の溝)が光を鋭利に反射するため、平坦な印刷や浅いプリントとは一線を画す、力強くシャープな立体感を生み出せる点がこの技法の本質です。