作者の真鍋昌平は、徹底したフィールドワークと取材をもとに裏社会や貧困ビジネスを描き出してきた。丑嶋馨を単純な悪人としても、都合の良い救世主としても描かないそのスタンスは、最終回まで徹底されていた。彼が最期に遭遇した暴力の引き金は、大掛かりな陰謀ではなく、街の片隅に転がる些細な憎悪だった。
どれほど強大な知性と度胸を持っていても、暴力と搾取の上に築かれた日常は一瞬の油断で崩壊する。この結末は、青年漫画の枠組みを超え、現代社会の格差や孤立、そして人間の脆さを浮き彫りにするジャーナリズム的な批評性を孕んでいる。