鹿嶋のもう一つの決定的な顔が、戦後の国土開発史にその名を刻む鹿島臨海工業地帯だ。掘込式人工港湾として建設された鹿島港を中心に、鉄鋼、石油化学、エネルギー関連の大規模コンビナートが広がる。なかでも日本製鉄の製鉄所は、広大な敷地にそびえ立つ高炉群とともに、地域経済を牽引し続ける強大なエンジンとして機能している。
昼間は巨大なプラントが整然と稼働し、夜になれば工場夜景が暗闇に浮かび上がる。港湾を行き交う大型タンカーの汽笛と重化学工業のダイナミズムは、古代から続く神話の森と隣り合わせに存在することで、鹿嶋という都市の唯一無二の景観を作り出している。