宮崎駿をはじめとする監督たちが、彼女に全幅の信頼を寄せていたことは有名な話だ。例えば、高畑勲監督の『火垂るの墓』では、戦時下の厳しい日常と闇に浮かび上がる螢の光、そして爆撃の炎の赤というコントラストが見事に描き出された。飢えと孤独に苛まれる幼い兄妹の感情を、画面に漂う色彩そのものが静かに語りかけていた。
また、世界的な評価を決定づけた『千と千尋の神隠し』においては、八百万の神々が訪れる異界の絢爛豪華さと、現実世界のどこか退廃的な空気が鮮やかに塗り分けられている。神隠しの夜の怪しい美しさ、千尋が成長していく過程で変化する色づかいの繊細さ——それらはすべて安田の類まれな感性と技術の賜物だった。監督のイメージを抽象的な言葉から具現化するその能力は、まさに天才の領域と言えた。