庭の土の中やプランターの底でトカゲの卵を発見した際、最も避けるべき行動は「卵を不用意に転がすこと」です。鳥類の卵であれば、親鳥が定期的に卵を回転させる「転卵」を行わなければ正常に発生しませんが、トカゲをはじめとする爬虫類の卵は転卵を一切必要とせず、むしろ上下を反転させると死滅するという決定的な違いがあります。
この現象の理由は、卵内部の構造にあります。鳥類の卵には黄身を中心部に浮遊・保持するための「カラザ」と呼ばれる帯状の組織が存在します。一方で、トカゲの卵にはカラザが存在しません。産卵後、受精卵の胚(将来個体になる核)は上部へと浮上し、卵殻の内壁に定着して呼吸を行います。この定着後に卵の上下をひっくり返してしまうと、重い卵黄が胚の上に覆いかぶさり、空気の交換ができなくなって窒息死してしまいます。
もし土の中から卵を発見した場合は、決して掘り出した状態で転がさず、以下の手順で迅速に保護します。
- 位置のマーキング:卵の上面(空を向いている側)に、油性ペンや鉛筆の先で優しく小さな「点」を付け、上下の向きを特定できるようにします。
- 水平を保って移動:スプーンなどを使って周囲の土ごとすくい上げ、向きを変えずに管理容器へと移します。
- 直射日光と乾燥の遮断:トカゲの卵は乾燥に極めて弱いため、回収作業中も濡れたティッシュなどを近くに置き、直射日光が当たらない日陰で作業します。