四門出遊の意味を一言で表せば、「王子シッダールタが城外に出て人間の逃れられない苦難を直視し、解脱の道を見出した契機」です。仏典(『仏所行讃』や『過去現在因果経』など)によると、父であるスッドーダナ王(浄飯王)は王子が出家することを極端に恐れ、城内に豪華絢爛な宮殿を用意し、老いや病、死といった世の不快な現実を徹底的に隠蔽していました。
しかし、成長した王子は城の外の世界に強い関心を抱き、御者のチャンダカを伴って4つの方角の門から外出すべく試みます。そこで目撃した光景こそが、王子の価値観を根底から揺さぶることになりました。
東から西への3回の外出で突きつけられたのは「老・病・死」という冷酷な自然の掟でした。快楽に満ちた宮殿生活が脆い砂上の楼閣に過ぎないことを悟った王子に対し、北門で現れた沙門の静寂に満ちた姿は、迷妄を断ち切る鮮烈な光として網膜に焼き付いたのです。