性行為は一見するとリラックスした行為に思われがちだが、循環器系に与える物理的ストレスは想像以上に大きい。性的興奮が高まると交感神経が極度に優位となり、心拍数は一気に跳ね上がり、収縮期血圧(上の血圧)も一瞬で急上昇する。この身体的負担は、階段を2階分急ぎ足で駆け上がったり、全力で短距離走を行ったりした際の心臓への負荷に匹敵すると言われている。
特に、もともと冠動脈に動脈硬化が進んでいたり、隠れ高血圧を放置していたりする場合、この急激な血圧スパイクによってプラーク(血管内の脂肪塊)が破裂するリスクが極めて高くなる。結果として血栓が形成されて冠動脈が閉塞し、急性心筋梗塞や致命的な不整脈(心室細動など)を引き起こすのが、この突然死の最も典型的な病態だ。