彼の表現活動の起点であり、長年ホームグラウンドとして機能してきたのが、Webメディアの黎明期を支えた「デイリーポータルZ」だ。まだWeb上の記事がテキスト中心だった時代から、膨大な写真と独特の脱力感のあるテキストを組み合わせた記事を連載。インターネットカルチャーの成熟とともに、Web出版業界におけるビジュアル表現の可能性を押し広げていった。
ネット発のフリーランス写真家として実績を重ねた彼は、やがて伝統的な建築写真業界や、優れた写真表現を顕彰する日本写真協会からも高く評価されるようになる。整然とした竣工写真を整えて撮る従来のスタイルとは異なり、生活の痕跡や都市の雑多なテクスチャを丸ごと肯定する手法は、写真芸術の多様性を広げる大きな原動力となったのである。