午前中の新大阪駅3階。改札口を出てすぐのメイン通路は、まさに戦場と化す。東京方面からののぞみが到着するたび、吐き出された群衆が吸い込まれるようにロッカー群へと殺到する。特に幅広の特大スーツケースが入る大型ボックスは、設置数そのものが少ない。わずか数十分で「空きゼロ」の表示が並ぶ。
「荷物を預けるだけで30分以上歩き回った。このままでは商談に遅れてしまう」。汗を拭いながらタッチパネルを操作していた都内のIT企業役員は、吐き捨てるように足早に去っていった。空きを探す人々の焦燥感と焦りが、混雑するコンコースの空気をさらに重く淀ませていく。
新幹線を管轄する東海旅客鉄道と、在来線構内を担う西日本旅客鉄道。ふたつの巨大組織が交わるこの駅では、エリアごとに管理母体も違えば設備の更新スピードも異なる。その複雑な構造が、不慣れな来訪者を迷宮へと誘い込む一因にもなっている。