全米ライフル協会をわかりやすく整理すると、もともとは1871年、南北戦争で北軍将校を務めた軍人らが「兵士の射撃技術向上」を目的に設立した純粋な射撃・狩猟クラブでした。長らく青少年の銃器安全講習や競技射撃を主眼とする非政治的な組織であり、1930年代の銃規制法案には賛調を示していた時期すら存在します。
組織の性質が180度転換した決定打は、1977年にオハイオ州シンシナティで開催された年次総会、いわゆる「シンシナティの反乱」です。射撃教育重視の温和派執行部に対し、強硬な権利擁護派がクーデターを起こして実権を掌握。「銃の所持は一切制限されてはならない」とする政治闘争組織へと急進化しました。
彼らが金科玉条として掲げるのが、アメリカ合衆国憲法修正第2条(規律ある民兵の存在と、国民が武器を保有・携帯する権利)です。NRAはこの条文を「いかなる市民も自衛のために武装する絶対的権利を保障したもの」と独自に拡大解釈し、全米ライフル協会の銃規制反対理由の絶対的な根拠として定着させました。「銃が人を殺すのではない、人が人を殺すのだ」というスローガンに象徴されるように、銃乱射事件の対策として「学校の教師を武装させるべきだ」と主張する論理は、すべてこの絶対主義から派生しています。