ソーシャルメディア上では「神宮外苑の再開発でいちょう並木がすべて切り倒されてしまう」といった極端な言説が散見されますが、これは事実と異なります。神宮外苑 イチョウ並木 現在の状況として、4列に並ぶ146本のイチョウそのものは、事業計画上「保全対象」と位置づけられており、直接伐採される予定はありません。
では、なぜこれほどまでに激しい反対運動や国際的な批判が巻き起こっているのでしょうか。その核心は、並木の至近距離で行われる大規模掘削工事と新施設の建設による「間接的・構造的な枯死リスク」にあります。
当初の再開発計画では、解体される秩父宮ラグビー場の跡地へ「新神宮球場」を移転新築する際、球場スタンドの躯体がいちょう並木の東側からわずか約8メートルという極めて近い距離まで迫る設計となっていました。樹木医や環境工学の専門家からは、基礎杭の打設や地下構造物の建設によってイチョウの根系が広範囲に切断され、地下水脈の変化や日照阻害、ビル風の発生によって樹勢が急激に衰退する危険性が強く指摘されたのです。
つまり、問題の本質は「木を直接切るかどうか」だけでなく、「100年かけて形成されたデリケートな生態系と生育環境を維持できるか」という高度な環境保全の議論にあります。