愛媛県松山市の日帰り温泉文化を長年牽引してきた「道後さや温泉ゆらら」ですが、2026年現在において本館・別館「家族の湯」ともに営業を行っておらず、施設は完全に閉鎖された状態が続いています。現地でも当時の看板や建物の一部は確認できるものの、正面入口は固く閉ざされており、営業再開に向けた工事や準備が進められている形跡は認められません。
地元経済紙や温浴業界の報告によると、閉館の引き金となったのは複合的な要因です。2020年以降の感染症拡大に伴う利用控えが長期化したことに加え、ロシア・ウクライナ情勢以降に顕著となった原油価格の高騰によるボイラー燃料費の暴騰、さらに近年の電気料金引き上げが運営企業の財務を直撃しました。温浴施設は売上に占める光熱費比率が極めて高く、特に地下源泉の汲み上げや保温、衛生管理のための循環ろ過システムにかかる固定費は施設の規模に比例して跳ね上がります。
加えて、開業から年数が経過していたことで配管や給湯設備の更新時期が重なり、数千万円から億単位にのぼる大規模修繕投資が必要とされる局面に直面していました。採算性の確保が極めて困難であるとの経営判断から、事業継続を断念せざるを得なかったのが客観的な実態です。