都営三田線の西台駅や高島平駅からアクセスしやすく、板橋区民のみならず近隣の北区や埼玉県南部からもゴルファーが集まっていたザ・ゴルフガーデン高島平。営業終了の噂が流れた当初は、一時的な改装工事ではないかと受け止める利用者も少なくありませんでした。しかし、掲示板や公式サイトによる案内を経て、施設は完全閉鎖の道を歩むこととなりました。
この決断の背景には、単なる一企業の経営判断にとどまらない、首都圏のゴルフ練習場を取り巻く構造的な問題が存在しています。関係者の証言や当時の業界動向を総合すると、決定打となった要因は主に3点に集約されます。
第1に、防球ネットや鉄塔・付帯設備の深刻な老朽化です。2019年秋の台風被害によって千葉県市原市でゴルフ練習場の鉄塔が倒壊した事故以降、全国の屋外練習場には極めて厳しい耐震・耐風強度の見直しと大規模改修が義務付けられました。昭和・平成期に建てられたネット支柱を最新基準で建て直す場合、数億円規模の天文学的な設備投資が必要となります。限られた打席数と単価でそのコストを回収することは、事業運営上きわめて困難な選択でした。
第2に、固定資産税をはじめとする都市部ならではの維持コストの高騰です。高島平周辺は都心アクセスに優れた住宅密集地であり、広大な土地を平面利用する屋外打ちっぱなし施設は、地価に見合う事業効率を維持し続けるのが年々難しくなっていました。
第3に、土地の定期借地契約の満了と事業継承のタイミングです。経営陣の世代交代や契約更新期が重なり、多額の安全対策投資を行って営業を継続するよりも、土地を新たな用途へと転換することが現実的な選択肢として浮上したのです。